"元気"だからこそ備えたい親孝行になる老後施設の選び方
近居とは、親世帯と子供世帯が、ちょうどいい距離感を保って近場で生活することです。親世帯と子供世帯の家は別々ですが、公共交通や徒歩、自動車などを使い片道1時間程度で行けるなら近居に当てはまります。近居は、親子の新しい住まいの形として注目されているのです。
近居は同居や隣居と明確に違います。同居とは親と子どもの各世帯が同じ家に住む形です。隣居は隣同士や非常に近い場所に住む形が当てはまります。「非常に近いところに住むのなら隣居も同じではないか?」と感じる方もいるかもしれませんが違うのです。
たとえば二世帯住宅だと、同じ住居に住んでいても玄関は別々のケースがあります。集合住宅では、同じ棟に住んでいても生活空間は違うのです。混同しがちですが、同居や隣居とは違います。
子どもの立場から見た近居のメリットを解説します。親世帯に子どもを預けられるのはメリットです。ひとりで留守番ができない年齢だと気軽に外出できません。共働き世帯も同様です。子どもが病気になっても会社を休めないとき、義父母やご両親がいれば、代わりに病院へ連れていってもらえます。
また、同居は生活空間が同じなため、お互い気を遣いストレスが溜まるケースがあるのです。近居は生活空間が異なるため、余裕を持って関係を保てます。また、一緒に出かけやすいのもメリットです。親世帯が食事やベビーグッズや洋服などのお金を出してくれるなら節約できます。
親世帯が病気になると遠方だと面倒を見たくても簡単ではありません。近居なら病院へ連れて行くなど、親世帯の看病や介護がしやすいのです。
高齢になると、遠方に住んでいれば簡単には子どもの家へ行けません。近居していれば、子どもをサポートしやすくなります。孫と一緒の時間を作りやすく、万が一のとき、子どもに安否を確認してもらえるのもメリットでしょう。孫の育児や教育を手伝えるのがうれしいというご両親もいます。
介護や身の回りの世話をしてもらえる、孫に自分の知識や経験を伝えられるのもメリットです。
近居はメリットだけではなくデメリットもあります。近居を検討する場合、デメリットも意識しなければなりません。見て見ぬふりをすると、各世帯で不満が爆発してしまいます。たとえば、同居ほどではありませんが、気軽に行き来できるため相手がゆっくりしたいとき来訪されて自分の時間が持てないケースです。
距離感を保つのは簡単ではありません。親の面倒を見られるのはメリットですが、同時に日常生活で負担が増えます。親世帯も面倒を見てもらうのが当然となれば甘えも出てくるものです。親世帯から過剰なお節介をやかれたり、家事や生活態度について口を出されたりすることが多くなるとストレスも溜まります。
古い風習や価値観に対する意見の不一致、教育に関する口出しなど、子ども世帯は気疲れが多くなりがちです。
親世帯のデメリットは、子ども世帯の不満と同様に「頼りにされ過ぎる」ことです。孫はかわいくても、子ども世帯がしょっちゅう預けにくれば自分たちの用事はできません。たまになら我慢できても、振り回されるばかりだと不満が出るものです。衣食住について、経済的に甘えられる機会が多くなる可能性もあります。
安否確認も本来はありがたいことですが、心配され過ぎると窮屈になります。お節介をやかれる点は子ども世帯と同様の不満です。生活についての口出しや、スマホやパソコン機器の利用を押し付けられるなどすればストレスがかかります。
近居は子ども世帯と親世帯、両方にメリットもデメリットもあります。トラブルになるのはデメリットに関してですが、予防方法を理解すればメリットのほうが大きくなり不満も消えるでしょう。
一番の予防策は親世帯も子ども世帯も、適度な距離感を保つことです。お互い甘えてしまうと距離感が近づきすぎて、同居と同レベルになってしまいます。可能なら、実際に近居ができるかどうか、お試し近居を実践するといいでしょう。期間を決定し、賃貸物件を借りてお試しで近居をします。実際に近居をしてみて、なにがよくて、なにが不満だったのかを体験できますし、賃貸物件なら、気軽に解消できるのです。
近居を成立させるには共通ルールを作るといいでしょう。トラブルになるのは甘えすぎることです。「家族なのだから」と、早朝や毎日訪問となれば不満が溜まるのもしかたありません。
休みのたびに行き来すれば、訪問されるほうは疲れるだけです。訪問頻度や早朝や深夜の訪問を避けるといった共通のルールを設ければ不満を避けられます。一方的に甘えるのではなく、親子関係でもギブアンドテイクを心がけるのも大切です。親だから、子どもだからと言い訳にしないようにししょう。
目が届かない・近くでサポートしてあげられない、そんな不安をきっかけに近居を検討しているのなら、シニア向け賃貸住宅も選択肢に入れてみてください。シニア向け賃貸住宅は、一般的にシニア層に向けたサービスがたくさん設けられています。近居は安否確認や介護がしやすくなりますが、同時に負担にもなる側面があります。シニア向け賃貸住宅のなかには安否確認や駆けつけサービスを設けているところもあります。通常の賃貸と同じように自由に生活できるほか生活相談サービスもあるため、子ども世帯とは離れて住んでいても、人の目の届く環境で暮らしてもらえるので、不安が軽減されるでしょう。