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遠距離介護に備えたい

離れて住む親と同居できない・在宅介護が難しいというケースでは、離れた場所に暮らしたまま、親の日常生活をサポートする遠距離介護をすることになります。2019年国民生活基礎調査によると、介護をしている方の中で遠距離介護を選択している人は全体の13.6%と年々増加傾向にあるようです。

この記事では、他人事ではない遠距離介護のメリットとデメリット、利用可能なサービスからうまくやっていくためのコツについてご紹介します。

遠距離介護のメリット

近くで行う介護と比較すると遠距離介護には以下の4つのメリットがあります。

1.転居不要

1点目は、住まいを変えることなく今の場所に住みながら介護ができる点でしょう。介護する側も介護される側も今の生活を変えなくて済むのは大きなメリットです。今の生活を守りながら転居せずに介護を可能とするのが遠距離介護のメリットともいえるでしょう。

2.今の仕事を続けられる

2点目は、現在の仕事を続けながら介護ができる点です。親元に引っ越して介護をするとなると、介護離職したり、転職したりしないといけなくなります。

親の介護が必要な年代になると、一旦離職すると再就職も難しく、もし働き場所が見つかったとしても、給与面を含む待遇は悪くなりがち。そのため、老後の蓄えを減らすことにもつながることから、今の仕事を続けながら親の介護ができる遠距離介護は大きな魅力でしょう。

3.少ない介護ストレスですむ

3点目は少ない介護ストレスですむことでしょう。

在宅介護とは違い、介護中心の生活とならないため、精神的ストレスと肉体的ストレスが少なくてすみます。常に介護中心の生活ではなく、ご自身の仕事や家庭も大事にしながら遠距離介護をできるのでリフレッシュしやすく、介護うつのリスクも減るでしょう。

また、家族と暮らしていると介護の相談をすることもでき、気持ち的にも負担が軽くなります。

4.介護保険サービスを利用しやすい

4点目は、介護保険サービスを利用しやすいことです。

親が要介護常態状態となったときに、介護できる人がち確認住んでいる世帯に比べて早めに特別養護老人ホームの入所が可能になる可能性があります。離れて暮らしているという生活状況を考慮し、早期入所が必要と判断してもらえることがあるためです。

遠距離介護のデメリット

一方、遠距離介護にはデメリットもあります。主な3つのデメリットをご紹介します。

1.費用負担が増大しがち

1点目は、費用負担が大きい点でしょう。

離れて暮らしているため、帰省するのに飛行機や新幹線といった交通機関を使うことが多く、回数が増えると費用もかかります。また、親が日頃お世話になっている方への手土産代も必要でしょう。離れているからこそ、必然的に電話なども増えたり、住みやすくするために手すりやスロープを設置するなど住宅改修をしたりすれば、その分の費用も発生します。

2.いざというときにスピーディーな対応ができない

2点目は、いざというときにスピーディーに対応できない点です。

容態の悪化などで、すぐに駆け付けたいとしても時間がかかります。そのため、近くに住んでいる方やケアマネジャーさんなどと密にコミュニケーションを取り、サポートしてもらえる関係を築いておくことが欠かせません。

3.仕事を休むことが増える可能性もあり

3点目は、仕事を休む機会が増える可能性があることです。

もし、親が体調を崩し入院するようなことがあれば、身の回りの世話をしたり、看病にかけつけたりすることもあるでしょう。それにともない、介護休暇や有給休暇を取得することが増える可能性があります。そのため、職場の同僚などの理解が必要となるでしょう。

遠距離介護で利用できるサービスは?

続いて、遠距離介護をしているときに利用できるサービスにはどのようなものがあるかをご紹介します。

介護保険サービス

1点目は介護保険サービスです。

利用者が支払う介護保険料と国や自治体の財源でまかなわれているサービスで、要介護および要支援認定を受けた40歳から64歳までの特定疾患を持っている方と、65歳以上の高齢者方が対象です。自己負担額は、所得に応じて1~3割程度になっています。

介護保険サービスには主に3つあります。

  • 居宅サービス
  • 施設サービス
  • 地域密着型サービス

居宅サービスは、現在住んでいる家で提供を受けられるもので、種類も多岐にわたります。「訪問サービス」だと、買い物や掃除といった日常生活の支援、食事や排せつの介護、健康管理や衛生管理指導、入浴やリハビリテーションをしてもらえます。「通所サービス」では、介護施設に通って日中に施設内で訪問サービスと同等のサービスが受けられるもの。また、一定期間介護施設に入所する「短期入所サービス」もあります。

施設サービスとは、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院などに入所した要介護状態の高齢者が対象。

地域密着型サービスは2005年に新設された制度です。訪問・通所型サービス、認知症対応型サービス、施設・特定施設型サービスなどさまざまなタイプに分かれます。

介護保険サービスは全部で26種類54もあるため、上手に組み合わせることで遠距離介護状態でも、十分なケアを受けさせてあげることができるサービスといえるでしょう。

自治体が提供するサービス

2点目は、利用者がお住まいの地域の自治体が提供しているサービスです。

安否確認や緊急時の駆けつけ、配食サービス、ゴミ出しサービスなど、自治体によってサービス内容が異なります。

安否確認一つをとっても、自治体職員が訪問する安否確認や郵便配達や宅配業者による様子確認など多様。本人の状況に応じて使い分けるといいでしょう。

高齢者向けの緊急通報システムも、ぜひ利用したいサービスの一つです。利用者本人が緊急時に通信機で知らせる方法や、室内に設置したセンサーが一定期間動きを検知できないと自動的に通報するシステム、定期的に安否確認の電話をするサービスを導入する市町村など、自治体によって異なります。利用できる対象者は、認知症や慢性疾患がある65歳以上の1人暮らしもしくは高齢者のみの世帯の方で、固定電話の回線があることが必須。利用料金は自治体によって異なりますが、0~1,000円程度と利用しやすい価格帯でしょう。

地域のボランティア団体などによるサービス

3点目は、地域のボランティア団体などが提供しているサービスです。

有償ボランティア団体と無償で家事代行や見守りサービスを提供している団体もあります。お住まいの地域にどんなボランティア団体があり、どのようなサービスがあるかは地域包括支援センターや社会福祉協議会などに確認しましょう。

民間企業のサービス

4点目は、民間企業が提供するサービスです。

公的控除の対象とならないサービスではありますが、遠距離介護をしていて目が届きにくい部分まで手厚いサポートをしてもらえるのがメリットでしょう。たとえば、ガスメーターの使用状況などを介護者のスマホなどに知らせてくれるサービスや人感センサーで安否確認ができるサービスで、異変が起きていないかを知ることができます。

また、お弁当の宅配サービスや家事代行、お掃除サービスに至るまで実に多様なサービスが用意されています。さらに、病院や薬局などへの付き添いや診察室での医師との意思疎通のお手伝い、入院時の付き添いまで行っている企業もあります。

遠距離介護を成功させるコツ

遠距離介護は、介護者の日常生活を守りながら離れた場所から親の介護ができるというメリットがあるものの、事前準備やうまくやっていくためのいくつかのポイントがあります。これから遠距離介護を検討している方はぜひ確認しておきましょう。

事前に行うべき親について知るポイント

すぐに駆けつけられない距離で行う遠距離介護だからこそ、知っているようで知らない親のことをしっかり知ることが大切です。

そのためには、帰省の回数を増やしたり、ラインや電話で連絡を取ったりするなどコミュニケーションを密にしましょう。質問攻めにするのではなく、話しやすい雰囲気作りからはじめるのがおすすめです。

知っておきたいのは、起床時間や就寝時間、家事や外出など生活パターンです。また、支援が必要なことを把握しましょう。

また、介護に必要な費用は親の資産でまかなうことが多いため以下の4点は知っておきたいものです。

  • 年金額
  • 預貯金
  • 借金などの有無
  • 加入している保険

ナイーブな話なので、介護などの話になった際に切り出すのがおすすめです。

さらに、近所付き合いや親戚付き合い、参加している集まりなどの人間関係を把握しておきましょう。離れているからこそ、日頃から付き合っている人との繋がりを大切にし、いざとなったときに頼れるようにしておくのがポイントです。

最後に、親の希望は必ず確認しておきましょう。親に代わって意思決定することが増えるため、どのような老後を希望しているのかなど理解しておくことで、できる限り親本人の希望にそった環境を整えて、自分らしく過ごしてもらえることができるでしょう。

成功の秘訣1.兄弟などで役割分担を決める

一人っ子だと別ですが、兄弟姉妹がいる場合などは、介護におけるそれぞれの役割分担を明確にすることが大切です。

それぞれの生活状況を考えて、できることとできないことを話し合い、誰か一人に負担が集中するということを避けるのが成功の秘訣です。たとえば、介護に直接かかわれない方であれば、資金援助も役割の一つでしょう。また、ケアマネジャーなどに連絡するのは一人担当者を決めておくとスムーズになります。

成功の秘訣2.地域のかかりつけ医を確認

日頃の健康状態などを把握しているかかりつけ医を持っておくことは、健康に不安があるときに相談しやすいのでおすすめです。また、必要に応じて専門医を紹介してくれるなどネットワークも利用できるでしょう。

親がかかりつけ医を受診する際には、帰省のタイミングを合わせて会っておくと遠距離介護の連携がしやすくなります。同行できないとしても、あらかじめ連絡を取り、顔を合わせて状況を確認するなど、こまめに連絡しておくといいでしょう。

成功の秘訣3.近隣住民や専門家を頼る

遠距離介護では、自らが動いてサポートするというフットワークの軽さはありません。そのため、日頃のサポートでは、近隣の方や専門家の方に協力してもらう必要があります。そうすることで、近隣の方が見守りや声かけをしてくれるので、緊急時の異変に気付くのもスピーディーでしょう。また、離れていてもケアマネジャーとはこまめに連絡をとり、健康状態や日頃の様子の確認や利用する介護サービスについてなど、打ち合わせをしていくことが大切です。

成功の秘訣4.会社の介護休暇制度を利用

遠距離介護をしていく上で、親に何かあったとき仕事を休んで看護や介護をしなくてはいけないことは避けられません。そこで、会社の介護休暇や介護休業制度を利用することが大切です。

介護休暇は、対象となる家族1名に対して年5日まで取得でき、介護休業は対象となる家族1名に対して年3回、通算93日取得できます。条件を満たすことで、介護休業給付金を受け取れることもありますので、会社の担当部署に利用の可能性があることなど耳に入れておくといいでしょう。

成功の秘訣5.交通費は介護割引を利用

遠距離介護の場合、帰省することが頻繁になると交通費がかさんでしまいます、そこで、往復割引や早割などを利用する以外に、飛行機の介護割引を利用するのも一つの方法です。航空会社によって異なりますが、複数路線がある場合は、割引の利用がある航空会社を選ぶことで、少しでも交通費をおさえることができるでしょう。

成功の秘訣6.介護費用は親の資金を利用

遠距離介護にともなう交通費などは自己負担になるにしても、介護費用は基本的に親の年金や貯金のなかでやりくりできるようにすることです。心理的負担の上に、介護費用までのしかかってくると、遠距離介護はうまく行きづらくなってしまうでしょう。

親のお金でやりくりできる介護サービスを利用するのが基本ですが、どうしても資金が不足してしまうといった場合などは、兄弟姉妹で話し合うことです。そこで、誰がどの程度負担するのかを不公平にならないように話し合って決める必要があります。

【まとめ】

遠距離介護は、今の生活スタイルを守り、仕事も続けながら親の介護ができることから、介護者が転居をせずにすむのが大きなメリットです。また、介護漬けにならないことから、肉体的にも精神的にもストレスが少なくてすみ、さまざま介護保険サービスの利用も可能です。

費用負担が大きくなったり、緊急時の対応が遅れたり、仕事を休むことが増えるというデメリットもありますが、成功させるコツを押さえることでこれらを補完することができます。

親が元気なうちに将来の遠距離介護に備えたいと考えられている方は、安否確認サービスや医療サービスなども整っているシニア向け賃貸住宅に住んでもらうという選択肢もおすすめです。遠距離介護のやり繰りが不安な方の助けとなってくれるでしょう。

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