"元気"だからこそ備えたい親孝行になる老後施設の選び方
賃貸物件を借りるためには貸主(オーナー)から承認を得て契約を結ばなくてはなりませんが、高齢者だと貸主に契約をためらわれてしまうことが多い傾向にあります。一概に高齢者といっても、高齢者に該当するすべての方が断られやすいわけではありませが、内閣府が平成30年度に行った「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」では、60歳以上の人の約9割が持家に居住しています。それに対し、賃貸に居住する方の割合は11.3%と少数です。
さらに、賃貸住宅居住者の中で将来の住まいに不安を抱えている人は36.5%であり、この数字は持ち家に住んでいる人に比べて10%以上高いという結果が出ています。このことから、高齢者の方が賃貸と契約を結びにくく、移り住んだとしても不安を抱きやすいことが分かるでしょう。
※参照元:内閣府-「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」(平成30年度)老後に賃貸が借りにくくなる理由として、健康面に不安があることが挙げられます。高齢者の方は病気になる可能性が高く、貸主は「万が一のことがあったらどうしよう」と考えてしまいます。とりわけ単身で入居を希望している場合、部屋の中で亡くなってしまったときに発見が遅れ、孤独死したまま放置されてしまう可能性があるでしょう。遺体は放置すると腐敗が進み、部屋の資産価値の大幅な低下に繋がります。貸主にとって事故物件になり次の利用者が見つからないのは大きなリスク。このような懸念から、高齢者の入居は敬遠されるのです。
家賃をしっかり支払ってもらえるか不安に思い、高齢者の入居を断る貸主もいます。定年退職している方のほとんどが年金で生活を送っていが、収入が年金だけだと十分な収入があると認めてもらえないことも。生活するのに貯蓄を切り崩さなくてはならない人なら尚更でしょう。家賃滞納が生じた場合、未払い家賃の回収は手間な上に大きな損失になるため、家主としては遠慮したいもの。金銭面は入居の際にチェックされる重要な要素です。
連帯保証人は賃貸物件を借りる際に欠かせない存在です。しかし、高齢者の方の中には配偶者の方が他界していたり、親族との関係が疎遠になっていたりして、連帯保証を頼める親族がいない人もいるでしょう。連帯保証を立てられないことは信用面の大きな低下に繋がります。やっと見つけた物件で契約が結べなくてショックを受けないためにも、連帯保証人を頼める親族がいない場合はあらかじめ伝えておくと良いでしょう。家賃保証会社を間に入れることで、借りられる場合もあります。
唐突な出費が少ないことが賃貸に住むメリットです。持ち家に長期間住んでいると急に設備が故障することがあり、突発的にやむを得ず出費しなくてはならない場面が出てきます。設備の故障は経過年数が分っていてもタイミングの予測が難しいものです。賃貸の場合、すでに設置されていた機材の修繕にかかった費用を大家さんが負担してくれるケースがあるので、相談してみましょう。
また、立地環境が良く、交通の便に優れた物件が多いのも賃貸の魅力。車の運転や遠方の買い物がしづらい高齢者にとって心強いでしょう。
収入のある家族に連帯保証人になってもらう
賃貸をスムーズに借りるために、しっかりと収入のある家族や子供に連帯保証人になってもらいましょう。身内からのサポートが得られることは、孤独死のリスクが少ないと大家さんや管理会社アピールするポイントになります。金銭面に限らず、身内のサポートを得られると知ってもらうことで、健康面の不安を減らすこともできるのです。万が一家賃を滞納した時でも、補填保証があるとして、家主に受け入れてもらいやすくなります。
また、「家賃債務保証制度」など、審査に通りやすくなる制度を活用するのも一つの手です。家賃債務保証制度は、一般財団法人高齢者財団が貸主と保証団体が家賃債務の契約を交わす制度であり、一般財団法人高齢者財団が入居者の連帯保証人の役割を果たしてくれます。家賃を滞納した際、貸主は家賃保証を受けることが可能ですし、家賃滞納のリスクが減るので貸主側も前向きに入居を考えてくれます。上記のサービスを受けられるのは60歳以上の方であり、いくつか保証料の支払いなど、条件を満たしていた場合に利用可能です。
家賃を選ぶ際は、無理なく支払いができる物件を選びましょう。年金での暮らしは定年前よりも収入が減ることに加え、生活費だけでなく医療費もかかります。年金の収入でも問題なく支払っていけるか、入居する前にシミュレーションしておくことをおすすめします。
そして、立地環境も重要です。周辺環境の利便性に優れている物件を選ぶと生活が楽になります。スーパーやコンビニ、病院など、高齢になっても自分の足で行ける範囲内に使用頻度の高い施設があると良いでしょう。そのほか、バス停や駅など、交通機関が充実しているかどうかもチェックしておくべきポイントです。さらに、近くに親族が住んでいる地域を選ぶと、万が一のことがあったとき頼りになります。さまざまなリスクに備えて賃貸物件を検討するのが大切です。
高齢者が老後に備えて賃貸を借りようとしても、契約してもらいにくいのが現状です。健康面や金銭面の不安から断られてしまうのが主な理由です。しかし、賃貸物件に住むためのコツやポイントがあり、身内からの協力が得られれば審査に通りやすくなります。賃貸暮らしには「突然の出費が生じにくい」ことや「周辺環境の整った物件に住める」などのメリットもあります。自身の支払い能力や周辺環境など、色々な要素のバランスを考慮して、自分に合った物件を探しましょう。